日本ローカーボ食研究会

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第6章 ローカーボは血糖、HDL-コレステロール、中性脂肪を改善する

日本ローカーボ食研究会代表理事 
灰本クリニック 院長 医師 灰本 元

 ローカーボとハイカーボの無作為化比較試験はたくさんあって、糖尿病だけではなく体重や脂質異常症まで含めると100編を超えています。それらをまとめたメタアナリシスもたくさんあって、総合すると以下のようになります。

 ローカーボはハイカーボに比べて以下の四点ですぐれています(図2-2)。

2-2.png
①血糖を下げる効果。
②中性脂肪を下げ、HDLコレステロールを上げる効果。
③体重を急激に下げる効果。
④糖尿病薬使用を少なくする効果。
⑤LDL-コレステロールを有意に下げる(当院での調査)。

 しかし、第一章で述べたように日本人や欧米人の一日当たりの平均摂取エネルギー(カロリー)から400kcal以上制限した1600kcal以下で比べた場合、ハイカーボ食も脂質制限だけでなく糖質制限も組み込まざるを得ないので、ハイカーボでも必然的にゆるやかな糖質制限状態になってしまい、①と③には差がなくなってしまいます。それでも④の効果はローカーボが優れていて、1600Kcalというハイカーボが断然有利な条件であっても薬を使わないという条件であれば①の効果はローカーボが断然優れます。

 それでは具体的にどの程度改善するのでしょうか。当院のデータで示してみましょう。

1)血糖値やHbA1cについて

 図6-1はゆるやかな糖質制限食を実行した群とハイカーボ食(カロリー制限食)を実行した群を2年間追跡したグラフです。

6-1.png

摂取エネルギーはほぼ同じで1700~1800kcalです。ゆるやかな糖質制限食群ではHbA1cは1年目、2年目と下がっていきますが、ハイカーボ群では1年目にいったん下がるものの2年目にはスタートラインより上がってしまいました。この間ローカーボ群ではもっとも強力な糖尿病薬の使用が激減しますが、ハイカーボ群では逆に増えます。もし糖尿病薬を使わないという条件を課せば、ハイカーボ群ではHbA1c値はさらに悪化します。 次の図6-2はわたしたちの研究を含んだローカーボ対ハイカーボのHbA1c値に及ぼす効果のメタアナリシスです。カロリーを制限しかつ薬をいくら使ってもよいという条件でも、ローカーボの方が少しだけ有利となっています。

2)中性脂肪とコレステロール

 わたしたちは11年間に多くの臨床研究を積み上げてきました。それらを総合して血液中の中性脂肪、LDL-コレステロール、HDL-コレステロールの変化をローカーボ治療前と3-6ヶ月後とで比較しました(図6-3)。

6-3.png

 LDL-コレステロール値はせいぜい5~20mg/dlしか下がりませんが統計的には有意に下がっていますが(図中一つだけ上がっているのはハイカーボ食)。
 HDL-コレステロール値はすべての臨床研究で統計的に有意に上昇していますが、上昇は4~5mg/dlでスタート時の1割程度です。
 中性脂肪値はすべての臨床研究で下がっており、10~30mg/dlほど下がります。
体重については第9章で解説します。

 当院の試験結果 ①~④は世界の臨床研究とほぼ同じですが、⑤だけは異なっています。世界的にみるとローカーボを実行してもLDL-コレステロール値はあがったり、変わらなかったり、下がったりと一定せず、統計的には差がないというのが通説です。わたしたちの臨床研究と異なる理由はわかりませんが、糖質制限の指導方法に違いがあるためではないかと考えています。

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