日本ローカーボ食研究会

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第3章 日本人の主要栄養素摂取量、糖尿病患者の糖質摂取量 その2

日本ローカーボ食研究会代表理事 
灰本クリニック 院長 医師 灰本 元

 国民栄養調査によると(図3-1)、糖質(炭水化物)摂取量がもっとも多かったのは1944年の一日当たり410gで、その後は減り続け2011年以降は255~257gと40%も減っています。一方、脂質摂取は高度成長期だった1975年に一日55gで、以後40年間ほとんど変化ありません。

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糖尿病はこの間に35倍に増えたと試算されていますから(糖尿病患者数と肥満者数の変遷図は必要?)、この図から読み取れるのは、糖尿病が急激に増え肥満は少しずつ増えた原因は、糖質及び脂質摂取の増大によるとは言えないことです。直接的な原因は生活習慣の激変に求めるのが妥当と思われ、自動車、電気、ガスなどの浸透により日常の生活に必要な身体活動量が激減し、摂取糖質や脂質のエネルギー減少量よりも身体活動量の低下の方が著しかったからに違いありません。

 次の図で国立長寿医療センター研究所の一般住民調査と灰本クリニックの糖尿病患者の初診時の糖質摂取量を比較してみましょう(図3-2)。

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灰本クリニック糖尿病患者の年齢52±9歳が一般住民の50〜59歳に対応し、71±5歳が70〜79歳に対応すると考えて、一般住民の男性の一日糖質摂取量は300gに対し当院患者では290gと10g少なく、70歳以上では290gに対し240gで50gも当院患者が少なくなっています。女性でも同じような違いがありますが、差は20-30gと小さくなっています。 

 もっと重要な点は、当院の糖尿病患者の糖質摂取量は食事療法をまったく行っていない患者で一日当たり150から650gまで幅広く分布していたことです(図3-3)。毎日の臨床現場では平均的な日本人を対象にするわけではなく、患者個々に対応して治療するのですから意外に平均値は役立ちません。たとえば図5で、糖質を250g/日食べている人ではせいぜい-50~-70g(一日当たり200~170g摂取に相当)の制限しかできません。150g/日以下の厳しい糖質制限は死亡リスクが上がるからです。一方、500g/日も食べている人なら-100~-300gまでOKですが、治療目的にもよりますが-100~-200g(400~300g/日)の制限で血糖コントロールでも体重減も十分に目的を達成できるはずです。このように“ゆるやかに制限する”ということは、食餌療法を受ける患者1人1人の治療目的と治療前の糖質摂取量によってその削減量がまったく違うことをしっかり理解してください。 
 まとめてみると、
①日本人の糖質摂取量は減り続け、2011年からその減少は止まっている。
②糖質の摂取量は男性では300~290g/日、女性では250~260g/日で年齢による差はせいぜい10g/日程度である。
③調査に際しては患者による過少申告の可能性を念頭に入れる必要はあるが、糖尿病患者の男性は中年期では290g/日、70歳前後の高齢者で240g/日であり、女性では年齢に関係なく230g/日といえる。
③治療前の糖尿病患者の一日当たりの糖質摂取量は150から650gまで幅広く分布しているので、その治療に当たり設定する糖質制限量は個人により大きく異なる。
 これら一日当たりの糖質摂取量の設定法はローカーボによる治療を理解する上でたいへん重要なのでよく知っておきましょう。

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